感動が波に 2009年10月5日

龍馬の手紙を読む小林綾子さん「さてもさても人間の一世ハがてんの行ぬハ元よりの事・・・・」

龍馬ファンなら一度は耳にしたことのあるフレーズであろう。文久三年(1863)三月二十日、龍馬が脱藩後初めて姉の乙女に宛てた手紙である。

女優の小林綾子さんが、ゆっくりと龍馬の手紙を朗読する。いや、弟、龍馬からの手紙を、小林さんが乙女姉さんになって読む。乙女姉さんを演じるのだ。ライトに浮んだ乙女姉さんの着物の帯が弾んでいる。待ちに待った弟からの手紙を読む声は弾む心を抑えながら、それでも弾む。

語呂あわせで10月3日が「とさ=土佐の日」となって3年、高知市のホテル三翠園で全国大会が開かれ、そのアトラクションに小林さんとシンセサイザー奏者・作曲家の西村直記さん、それに坂本龍馬記念館の女性スタッフ二人が加わって“龍馬の手紙、朗読・コンサート”が披露された。小林さんは乙女に、西村さんは龍馬をテーマに作曲した曲で背景を固め、館の二人は手紙と手紙の間をつなぐ時代、世相の解説である。三者が絡み合って幕末の龍馬が浮ぶ。

この日は五通の手紙が紹介された。乙女宛の手紙だから私信中の私信。龍馬もまさか150年後、故郷の人前で読まれるとは思ってもいなかったはずである。天国で照れている?いやこの日のコンサートの様子を見ていたらそうでもないかも。

観客は一心に舞台を見つめた。耳をそばだてた。息をのんでいた。その緊張感が背中にびんびん伝わってきた。会の“風”は“幕末”。龍馬の背中が確かに見えた。最後に天国で乙女が言う「・・・・・龍馬そろそろ、また貴方の出番ぞね」。流れる「龍馬フォーエバー」。終了と同時に大きな拍手が起きた。「感動したぜよ」と何人もに声をかけられた。まんざらでない顔の龍馬を想像した。

本番の『「聞こえる・あの声」龍馬の手紙を読む~朗読・コンサート』は11月14日(土)高知県立美術館の美術館ホールで、昼夜2回公演です。