山北棒踊り@龍馬記念館 2013年10月6日

昨日(10月5日)、記念館八策の広場にて、小栗流棒術の流れをくむ伝統芸能「山北棒踊り」が、保存会の皆さんによって披露されました。

現在開催中の「土佐の武術」展では、龍馬が土佐で学んだ「小栗流」を大きく取り上げています。龍馬といえば江戸で北辰一刀流を学んだことが知られていますが、土佐にいた頃は小栗流という流派を修めていました。小栗流は剣以外にも棒や水練などさまざまな武術を伝え、特に和(柔)術が強いことで知られていました。龍馬は14歳で小栗流に入門し、最終的に脱藩前年の文久元年(1861)、27歳のときに「小栗流和(やわら)兵法三箇条」を授けられています。

一方、山北棒踊りは正徳2年(1712)、土佐藩の重職にあった山内規重(のりしげ)が山北村(現香南市香我美町山北)に蟄居したおり、主君規重の無聊を慰めるため、家臣が小栗流の棒術を土地の若者に教え、規重の前で披露したのが発祥とされています。規重はのちに蟄居を解かれますが、このとき山北で生まれた規重の嫡男は、のちに土佐藩8代藩主山内豊敷(とよのぶ)となりました。山北棒踊りはこのような経緯から、土佐藩主山内家とも、龍馬が修めた小栗流とも、浅からぬ縁を持っています。

棒踊りは、青年が10人ずつ2組に分かれ、地唄に合わせ、騎馬戦のように陣を組んで棒を打つ「本棒」から始まります。地唄の歌詞には「玉と砕けし坂本龍馬、桂浜辺に花と咲く」という箇所があり、聞いていた私たちは、この伝統芸能が龍馬記念館で披露されることへの感慨を深くしました。

本棒

続いて、2人一組で棒を打ち合う「小棒」が披露されます。「ひし」や「つき」、「花」などの技を、青年たちは棒が折れはしないかという勢いで、本気で打ち合います。日頃の練習の成果を発揮され、見事な技を披露されました。

小棒

最後に披露されたのは「車返し」という技です。2人一組で組み合い、お互いのたすきを交代に持ち上げてクルクルと車のように回ります。小栗流和術の流れを伝えると言われる技で、水たまりや固い地面という悪条件にもかかわらず、披露していただくことができました。

車返し

当日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天気でしたが、青年たちの大きなかけ声や、力いっぱいぶつけ合う甲高い棒の音は、台風接近の影響で下の浜から地鳴りのように響いてくる波の音をかき消すほどの迫力でした。

山北棒踊りは、昨年で発祥から300年を数え、高知県の無形民俗文化財にも指定されています。本来は、地元のお宮である浅上王子宮の秋季大祭(毎年11月18日)において奉納される神事です。お宮で行われる奉納の棒は、神事ならではの緊張感と迫力に満ちた素晴らしいものです。また、「酔うたんぼ」(土佐弁でいう「酔っぱらい」)という、ユーモラスな余興も披露されますので、お近くの方は是非、山北棒踊りを地元山北でご覧ください。

最後になりましたが、雨の中素晴らしい技を披露いただきました山北棒踊り保存会の皆さまに、厚くお礼申し上げます。

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「土佐の武術」展 10月25日(金)まで
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