22匹のタヌキ 2005年11月4日

坂本龍馬記念館は、小高い丘の上にある。
標高約60メートルというのは、感じよりかなり低い。見た目には軽く標高100メートルは越えるほどに思える。館から海岸ぶちまで切り立っているせいだろう。断崖は松が主体の雑木林。そこに、どうも鳶の巣があるらしい。
というのも、先日お隣の国民宿舎「桂浜荘」で、水平線を眺めながら優雅な昼食中のことだ。カレーから水平線に目線を移した視界に、突然、鳶の姿が舞い込んできた。海からの上昇気流に乗った、そんな勢い、弾みをつけている。羽をいっぱいに広げて滑空のスタイル。全部で6羽。水平線を高く越えるのもいれば、逆にジェット機みたいに、森に向かって急降下の影も。鳶の“集会”?かも知れぬ。どうも、緊急動議が出されたようだ。
そう言えば、桂浜界隈、浦戸地区で、最近“動物界”の異変を知らせるニュースが、“人間界”を騒がしている。新聞のこんな見だしが目についた。
「浦戸地区のタヌキが、次々変死」「分っただけで14匹」。
館の周辺は“タヌキ屋敷”かと、改めて知らされた。変なことに感動した。
そして後日のニュース。「変死の原因は動物の病気。人間には感染なし。確認しただけで22匹が死ぬ。」
今度はその数に驚いた。
“人間界”の小規模な小学校で言えば一クラスだ。一クラス全滅と考えるとショックではないか。
恐らくタヌキ仲間では、伝染病対策が話し合われたろう。
会場は月の桂浜だ。
その月夜の“タヌキ会議の集会”の様子を想像して、妙に独りで納得した。
おっ!生き残ったタヌキが、館の前庭広場をちょこちょこ横切って行くぞ。
入ってきた観光バスのクラクションに驚いて、ダイビングのスピードで側溝に身を隠した。
「亀山社中と海援隊」特別企画展の大きな看板が、館の入り口に座った日の午後である。