冬の海 2005年12月25日

四季を通じて水平線が最もくっきり見えるのは冬の海である。 寒気が入ると、海は群青色に光り、海と空がはっきりと区別できる。時おり白波が広がる。そんな日は、風のある寒さの強い一日が続く。海の色が薄くなって水平線がボワーッとにじんで見える日は、暖かく過ごしやすい。海は正直な生き物だ。
毎日一度は屋上と2階にある望遠鏡で、水平線や海、パッチ網漁船を眺めて感動している人がいる。館長だ。クジラを探しているらしい。館長だけでなく、「海が見たい」とやってくる人もたくさんいる。
以前、私は毎週のように大月町・柏島の海に通っていた。夏場は魚種も多く、サンゴの間を泳ぐ魚たちの姿を追うだけで楽しかった。しかし、夏の賑わいが去った冬の海は、水中に静けさが漂う。
外洋に臨むここでも、沿岸部にはサンゴも生息しているのだろう。高知の海では、サンゴや魚たちが豊かな世界をつくっている。
群青色の海を眺めながら、眠っている魚たちを思う。そして、生き物たちを包み込みながら地球に広がる海を思う。海には、今だけでなく過去や未来とつながった時間が漂っている。
夕暮れ時の帰り道、小高い丘から海側に下りてまっすぐ花海道を西に車を走らせる。海は黒く眠り始めているが、暗闇になる前の空のグラデーションは、心が吸いこまれるように美しい。きょう一日の時間が終わる。色合いを閉じようとする空のやさしさ。冴え冴えとした月と金星。忘れていた記憶が浮かび上がる瞬間だってある。
1年を振り返った。いろんなことがあった。夕暮れを見ることのできない日が続いた。館でたくさんの人と出会った。龍馬とも近しくなった。
来年はもっとたくさんのことがあるだろう。よいお年を!