時節到来 2006年1月7日

降雪で迎えた昨年1月2日の開館と違って、穏やかな日和で始まった新春。年末にカルサポたちが飾った大きな門松も新しい年と皆様をお迎えするにふさわしく、入り口に華やぎを添えている。この正月も館は多くの人で賑わった。館の外では、冬の海が厳しくやさしく、大空と一緒に館を包む。館内の景色も変わった。
気持ち新たに思う。本年もよい年で、今までより多くの方がここに来て、より深い感動を味わって帰ってくださるように…と。
さて、昨年は龍馬生誕170年で沸いたが、今年は龍馬の甥の孫・坂本直行生誕100年。
龍馬の甥・坂本直寛は、龍馬の夢のひとつであった蝦夷地に移住し、開拓や牧師の使命を果たすべくその地に根を下ろした。そして、その子孫は、北の大地に着実に根を張っていく。直寛の孫・直行もその一人。
しかしながら、坂本直行と聞いて「あぁ、あの人ね!」と言えるのはかなりの方。それよりも「北海道帯広市の製菓会社“六花亭”。そう、チョコレートやマルセイバターサンドが有名よね。その包装紙の花の絵はご存知?」と聞いたほうが、話は早い。その花々を描いたのが、坂本直行その人である。(1906~1982)。
直行は「なおゆき」と読むが、皆は親しみを込めてチョッコウさんと呼ぶ。(直寛も同じ。なおひろと読むが、チョッカンと言う人が多い)。直行さんは花の絵も多く描いたが、実は日高の山々を愛し、原野を愛した山岳画家である。だが、画壇にある画家ではない。山と絵を愛しながら、北海道大学農学部を卒業した後、十勝の原野に裸一貫で飛び込んだ開拓農民なのだ。何よりも、限りなく厳しく美しい自然と共に生きた一人の人間である。
龍馬の子孫でありながら、龍馬を語ることなく過ぎた直行さんだが、今に生きる私たちは、直行さんの中に龍馬の生き様を見る。武骨で、一徹で、ユーモラスで、やさしくて、厳しい大地で信念に生きた一人の男。残された数多くの絵もまた、その人を語る。
今年秋には、その直行さんの絵画を北の大地美術館(中札内美術村)やご遺族などからお借りして、初めての里帰り企画展を開催する。多くの方に感動をお届けしたい。