港の女 2006年2月15日

ここ数日海が荒れていた。
風にあおられて白波が立っている。ただし、天気は悪くないから、水平線はかえって鮮やかに見える。館の「海のぎゃらりい」で始まった、吉松 由宇子さんの展覧会のテーマは「海の詩」だ。地元浦戸のご出身だけに「生涯のテーマです」。吉松さんの話す言葉によどみはない。海に寄せる思いの深さが伝わってくる。
描かれているのは、波、船、太陽、月、人。
自然は忠実に描かれれている。
光あふれる朝日、海、中天にある月はひっそりと凛としている。
船影は時にリアルに、ある時には影や線だけが幻想的に描かれている。
その構図に人間が絡む。男、女。二人のとり合わせもあれば、女同士もある。不思議な雰囲気が画面を包むのである。
「港の女」は首に金のネックレスをかけた、若い女性のヌードだ。想いにふけっているという構図である。黄色が基調の霧の海。黒い線でえどられた貨物船が溶け込んでいる。淡いピンクの女体は、伏せた瞳だけが妙にリアルに光っている。
「場所柄、展示していいでしょうか」と吉松さんが展示を遠慮するような口ぶりであった。心配無用。絵はすっかり場所になじんでいる。
その日の海の表情によって「港の女」も表情を変えているように思う。