春到来・千客万来 2006年3月15日

日脚が伸び、大気は明るくなった。プロ野球キャンプ入り、観光開き、皿鉢(さわち)祭り、お城祭り、二十四万石博。高知の城下に春を告げる中国大陸からの黄砂が、幾日も街や空や海を白く霞ませた。
ウメ、モモ、レンギョウ、コデマリ、ユキヤナギ。春の花が広がっている。サクラは赤かった樹皮の色がつぼみに移り、その突先ははちきれんばかりだ。いずれ大気は桜色に染まるだろう。春到来である。
そんな春の賑わいは館にも広がっている。若い学生たちの笑顔、団体の華やぎ、家族連れの和やかさ、一人の充足。所用で来られた方が「えっ?!こんなに人が来てるんですか」と驚かれることもある。
先日も大学生のグループが、閉館間際まで写真を撮ったり、展示会場を何往復もしていた。彼らが立ち止まった資料について少し説明すると、かなり突っ込んだ質問をしてくる。その意外さに驚いたし、とても楽しかった。若い彼らは、本当に龍馬を知ろうとここを訪ねていたのだ。
ある年配の方は資料の説明を聞いて「今回の旅で一番の収穫は、今のお話でした」と、何度もお辞儀をしながら、名残惜しそうにバスの集合に向かっていかれた。
学生たちも年配の方も、私がたまたま通りがかりに出会った人たちである。こういった“他生の縁”らしき方たちをはじめ、各国大使から小さな子どもたちまで、いろいろな方をご案内している。
「ギャラリートーク」などという気取った言い方はしない。私たちは「解説」という形で、ご予約いただいた方たちに館内の説明をしている。また、予約などなくても、熱心にご覧いただいている方には思わず「ご説明でも…」と声がけをしてしまう。そして、その中で自分自身が一番学んでいることを感じているのだ。
千客万来。多士済々。日々是愉快。そんな気持ちの春である。