田中良助家資料の活用 2006年3月19日

昨年5月、当館HPの過去の企画展「龍馬と良助」を御覧になって、大阪外語大学の久堀先生から問い合わせがあった。田中家資料『駒下駄敵討』(こまげたかたきうち)の体裁や登場人物などの内容について知りたいというものだ。
久堀先生は、近世人形浄瑠璃研究をご専門とされており、先日『説話論集 第15集 芸能と説話』に「近世後期淡路座の人形浄瑠璃-『敵討肥後駒下駄』の成立-」という論文を執筆された。
淡路座の人形浄瑠璃とは、およそ500年前から始まったもので、江戸時代には全国を巡業しながら人形芝居を浸透させていた。現在では、座の数も少なくなったが、1976年に国の重要無形文化財に指定され、保存・継承が行われている。
久堀先生は論文中で、江戸時代の淡路座の活動と中央の浄瑠璃作品を調べることにより、淡路座の中央への影響や果たした役割などを考察し、従来注目されることの少ない淡路座独自の創作活動に光を当てる試みを行っている。
田中家の『駒下駄敵討』は、浄瑠璃の台本ではなく実録本の一つだそうだが、全国には他にも同種の実録本が少数ながら存在しているそうだ。実録本と浄瑠璃との関係を考察する際、田中家の『駒下駄敵討』は他に伝わる実録本と異なっているため、大変興味深い資料だということだった。論文を拝見させていただいたが、非常に面白く、勉強にもなった。また、当館では浄瑠璃の知識が無いため、この資料を単なる書籍資料としか扱っていなかったが、専門家が見るとこれほど資料が生きてくるものかと驚いた。
今後も、専門家に限らず、多くの方が研究のために資料を活用していただくことを願っている。