東京の土佐ブンタン 2006年4月9日

閑話休題。北の大地から、南国にかえった話題をひとつ。
ミカン、ポンカンなどは、お正月頃から国道沿いの良心市(無人の小さな直販所で高知名物。料金箱に入れられた金額は、たいてい売価と勘定は違わない。売り手と買い手の良心による運営)の彩りになっている。
そして春先。いわゆるミカン(温州)が消えた頃辺りから、高知では続々と新たな柑橘類があふれ出す。南国・フルーツ王国の名にふさわしい。
今、土佐特産のブンタン(文旦)が美味しい。少し苦味のあるさっぱりした味は、皮をむく面倒さえなければ、いつまでもほおばりたい。大ぶりで厳選されたブンタンなら1個数百円してもおかしくないが、形は悪くても味のいいものは、安く手に入る。高級な水晶ブンタンだって、庶民の口に入らないはずはない。
さて先日、朝の通勤途中のラジオで、このブンタンの話題が出た。東京のFM局からの全国放送らしい。
女性アナが得々と語る。「今度、○○ホテルでは、スゥイーツにブンタンシュークリームを限定で出すんですね~。ブンタンって苦味があってグレープフルーツみたいで、さっぱりした味なんです(まあね!)。果肉の皮がちょっと緑色がかってて(ン~ッ?)、別名ボンタンとも言われます(エッ?!ち、違うよ!)」。とうとうと、ブンタン講義は続く。で、かなりずれている。「皆さん、ぜひ召し上がってくださいね~」。私は思わず叫びそうになった。「何の紹介をしているの?!」
しかし、冷静になれば、これは歴史やその他のことにもいえる。後世の人が得々と語る史実(?)が本当であるのかどうか。地面の下で面映い思いをしている御仁、脚色された出来事もさぞや多いことだろう。歴史研究は科学と同じで、100%の真実に近づく作業だといわれる。私自身、東京の土佐ブンタンを語っていることもあるだろう。ラジオのブンタン紹介は、他山の石。教訓である。
さて、高知ではこれからもフルーツの季節は続く。柑橘系の小夏、八朔、エトセトラ。野菜のトマトだって、高知ではフルーツトマトなのだ。
田に水が張られ、水面が光る。蛙も鳴いている。新緑が広がり始めた。気の早い鯉のぼりも泳ぐ今日この頃である。