今日の海は… 2006年7月18日

海辺の丘の上。ここ坂本龍馬記念館では、高い目線から太平洋を望むことができる。
180度にひらけた果てしなく続く海原。水平線はわずかに丸みを帯びている。
海は地球上でひとつにつながっているのに、見る土地によって様々。
同じ場所から見る海でさえ、日々違った表情を見せる。

ここから見えるそんな海の様子を、来館されるお客様にもゆっくり眺めていただきたいと、「龍馬の見た海」と題した小さなブラックボードを入口近くに設置、晴れた日の真っ青な海の写真の下に、「今日の海は・・・」のタイトルで短く文章に綴ってお伝えしている。
毎朝その日の受付担当者が、開館前のわずかな時間に書き上げているが、限られたスペースに「簡潔に分かりやすく」表現するのは意外と難しい。
そのうえ数時間で海の状態が一変していたり、館長からの、「全体ばかりでなく、部分的にも捉えてみて。」との指示に、せっかくまとめた文章を書き直すことも。

さてお客様の反応は・・・。
一瞬ボードに目を留めただけで、そのまま立ち去る方、立ち止まり、ひとり腕組みでしばらくボードを見てくださる方。(海を眺めてみようと思っていただけたかな、と気になる。)
「眺望度100%だって。見に行こうか。」とグループで屋上へ向かわれる方。(よかった!ひと安心。)
「これはあなた方が書くの?なかなかよく書けてる。」とご年配のお客様がお声を掛けてくださった時には恐縮してしまったが、とても嬉しく、ありがたかった。

これまでボードに書いてきた中のいくつかはこのような内容。

早春のある日
「海面に美しく反射する陽光のまぶしさ。穏やかに寄せるさざ波。はるか東に岬が霞む春です。」

風の強い晴れた日
「強風に波は高め。海面にはくっきりと白い波頭がリズミカルに顔を出す、美しいブルーの海です。」

風の強い曇りの日
「打ち寄せる波は高く、海面も大海原を実感させるダイナミックな動きをみせています。」

薄曇り 眺望度60% 穏やか
「白っぽく霞んだ空を映したような色の海面。その細かな陰影や動きもまた美しい今日の海です。」

曇り時々雨 眺望度50% 大迫力
「うねりのある灰色の海面に、霞む水平線。波は荒々しい音と共に大きく打ち寄せ、白く長く跡を残して引いていきます。」

雨 眺望度40% 穏やか
「海面に雨の足跡。寄せる波はやさしく、霧に包まれた海です。」

最後の一文、Kさんの書いたこのボードを読んだきり、海をよく見ることなく勤務を終えたこの日の帰り。
大粒の雨の中ふと海に目をやると、海面にポツポツと無数の細かいくぼみが。なんと雨粒が海に降って落ちるのが、光の加減で見えたのだ。
こんな海を見たのは初めて。まさに「雨の足跡」だった。