土佐礼讃 2006年8月13日

8月の「海の見える・ぎゃらりぃ」は、異次元の雰囲気である。
写真家、桐野伴秋さんの世界。テ-マは「土佐礼讃」。だから、ここはやっぱり高知に違いない。ただ、コ-ナ-に続く鉄の階段を上がると、いきなり頭の上に見えるのはモルジブの海辺。ちょっと腰引いて波と戯れる子供の姿がまるで天然色の天使である。幻想的な波音が光となって降ってくる。
二階に上る。50枚のポストカ-ドが気になるはずである。ひとえに色のせいだと思う。一枚一枚、写真というより、心象風景を描きだした“絵”といったほうがいい。
ブルー、黄色、ピンク、黒、さらに白・・・。
溶け合った色が不思議なムードを作りだしている。
「桂浜」「四万十」。おなじみの題材が「時の紋様」「海の扉」「永遠の詩」、順次表情を変えてゆく。
数枚を組み合わせて「二十四万石物語」というのもある。
月、夕日、波、海といった自然をテーマに狙ったものと、イタリア、フランス、世界遺産の横顔を写したものもなかなかにいい。
“桐野の世界”に誘い込まれる吸引力が働く。ところがその感覚がなぜか一拍遅れた感じで響いてきた。なぜ、遅れたのか原因を考えてみた。ヒント探しにてもう一度モルジブの海辺「大海へ」を見てぴんときた。女性的目線なのだ。女性がまいってしまうはずである。夢が覚めてゆく時の心地よいあいまいさを、色で表現したみたいなものである。
桐野さんはほとんど毎日、館に来る。愛用の黒のTシャツに、早くも現れた群舞するアキアカネを焼付けながら。