北の大地・坂本直行(7) 2006年8月17日

JR札幌駅近くに北海道大学がある。北国の透明な空をバックにした構内は広々として、実に気持がよい。正門を入ってまっすぐ西に向かうと、有名なクラーク博士の胸像が構内を見渡している。北大の前身は札幌農学校であったことを思い出させる。その向こうには、農学部の校舎が広がっている。直行はこの農学部で学んだ。
札幌駅をはさんで南には札幌時計台や、少し行くと知事公館がある。広い敷地と建物である。当時の直行はこの公館に隣接する屋敷から北大に通った。裕福な資産家の息子である直行は、昭和2年(1927)に大学を卒業し、十勝の原野で開拓農民となった。

大学構内には、重要文化財北大農学部第2農場(モデルバーン)が保存されている。中札内美術村にある坂本直行記念館(通常・北の大地美術館)の手本になった建物だ。
モデルバーンへ続く道にはエルム(にれ)の並木がまっすぐに伸びている。その途中に北大総合博物館がある。
今この3階展示室で『北大の山小屋』展が開催されている。北大山岳部OBや学生たち手作りだという企画展からは北大山岳部の歴史が見えてくる。「山は厳父 小屋は慈母」というキャッチフレーズに、北大・山男たちの熱い思いが伝わってくる。
北大スキー部から分かれて山岳部が創設される時期に、直行は真っ先に参加した。中でも初期の「ヘルヴェチア・ヒュッテ」建設には直行も尽力した。小学校時代の手稲山登山以来、山に魅せられていた直行は、北大山岳部で本格的な岳人となっていく。
北大山岳部の先輩後輩たちが、原野の直行を訪ね、直行は貧しさの中でも彼らを最大限にもてなした。画家になった直行の個展を支えたのは、こうした先輩後輩たちだった。
「チョッコウさんのためなら…」と、坂本直行展への北大山岳部出身者のエールは大きい。直行はいまだ伝説の岳人として、北大に生き続けている。

北海道大学総合博物館
http://www.museum.hokudai.ac.jp/