北の大地・坂本直行(8) 2006年8月24日

21日から高知新聞で、『北の大地に生きて 農民画家・坂元直行』という連載が始まった。田村文記者による8回シリーズ。楽しみである。6月の取材では私も一緒だったが、私たちの原野取材の様子は北海道新聞でも紹介された。
7月には、十勝毎日新聞でもゆかりの人たちが語る直行さんが5回シリーズで連載された。『あの日のチョッコウさん 山岳画家坂本直行生誕100年』。「関係者も高齢になってきているので、今聞いておくことが大切だと思った」という安田義教記者の言葉に私も頷く。

直行は15,6歳の少年時代から絵を描いている。それは自分の登った山を描いたペン画で、荒削りな線が年代とともに細やかで表情豊かになってきている。草花のスケッチもしている。サクラ草をテーマに研究した卒論は、やたら花のスケッチが多いものだったともいう。
学生の延長で原野に飛び込み、農民となった直行はスケッチブックを離さなかった。馬車で牛乳を運搬している時など、道は馬に任せて絵を描いている。きつい農作業を終えて帰る途中には花を手折り、夕食までのひと時、窓辺で花をスケッチする姿を子どもたちはなつかしく語る。
農民時代には食べるものも着るものもなく、子どもたちは栄養失調特有の細い手足をしている。北大の仲間に鳥肉を送った時、包み紙は直行が描いた絵のあるキャンバス布だった。直行の絵よりも新聞紙が貴重な時代があった。
直行は貧乏のどん底であっても、絵を忘れなかった。少年時代からスケッチや写真を通して風景や草花を観察してきた。それが画家としての素質と目を養ってきたことは間違いない。