北の大地・坂本直行(10) 2006年9月17日

このホームページでも直行展のコーナーができた。
コーナーのトップにある「新緑の原野と日高山脈」が何ともさわやかに広がる。春先からのポスターやチラシに使っている絵だ。
初夏の原野は緑に包まれ、直行の愛した日高山脈の楽古岳が、真ん中でとんがり帽子のようにツンと突き立っている。
秋のポスター「初冬の日高山脈」もご覧いただきたいと思う。
雪を抱いた日高の山波(直行は“山並”とは書かず、“山波”と書いた)、どこまでも深いインディゴブルーの空、手前の柏林は見事なインディアンレッドに紅葉している。きっぱりと塗りこめられた白と群青色と赤褐色。見ている私は絵の中に引きずり込まれそうになる。

さて、太平洋を望む2階にある直行の小さなギャラリーも9月から秋の絵に変わっている。
初夏の絵と合わせ、この絵の持ち主は直行の甥にあたる弘松潔さんのもの。昨年の秋、私は弘松さんを訪ねた。初めて札幌の坂本家に行く前にこれらの絵を見せていただきたかったからだ。
弘松さんは伯父・直行のことを熱く語ってくれた。「これは私の座右の書です」と見せてくださった『原野から見た山』(坂本直行著、朋文堂、昭和32年刊)はボロボロになるくらい繰り返し読まれていた。弘松さんは直行のことを心底敬愛していた。そして、直行展開催のことを本当によろこんでくださっていた。
弘松さんは今年2月、あっという間に亡くなられた。「春になったら札幌に行くつもりです」とおっしゃっていたにもかかわらず。北海道からやって来る直行の絵を真っ先に見てもらいたい人だった。