古代が見えた 2006年10月5日

10月になった。うそのように暑さが消えた。
館は11月から始まる「反骨の農民画家・坂本直行」展開催に向けて、最後の仕上げに入っている。少々殺気立ってもいる。龍馬の見た海、太平洋を“空白のステージに立って眺める。苛立つ気持ちを落ち着けてはデスクに戻る。戻り際に缶コーヒーを買っている。
浜﨑 秀嗣さんの個展「生命シリーズ」は、そんな苛立つ心を癒さんがためにスタートしたタイミングの良さであった。
例の「海の見える・ぎゃらりぃ」で一日から始まった展覧会だ。
絵の主役はアンモナイト。古代の化石。「ほら、白い粉を吹いたオウム貝に似ている」と、言われればイメージできるだろう。
そのアンモナイトがふと、人間のような錯覚を呼び起こす存在感なのが不思議でならない。だから、置かれているというより、佇んでいるというのがいいのかも知れぬ。克明に描かれた渦巻き模様が光っている。存在している場所も、ピンクの敷物の上というよりバラの花びらにも見える。
明らかに渦の底に誘っているゾ!。底を突き抜けるとどこに行くのだろう。行ってみたい気持ちに駆られる。強い誘惑である。
底を覗き込むように回遊している大魚の魚影が迫ってきた。あまりにも大物なので、たじろいでしまった。アカメではないか。淡水と塩水の間を泳ぐ怪魚といったほうがいい。
以前、釣り上げたアカメをロープにつないで岸につないであったのを見たことがある。ロープを取ると、陸の大人がずるずる引きずられた。怪魚たるゆえんはそんな記憶に裏づけられている。
絵を見ているうちにパワーをもらっている自分に気が付いた。