男前じゃ 2006年11月29日

今回―反骨の農民画家「坂本直行」展―の特徴の一つは、直行さんのアルバムを許される範囲で、最大限に使ったことである。直行さんは古い写真が実に多く残っている。よくこれだけ写真がと感心する。学生時代、続いて昭和10年代、直行さんが十勝原野の開拓に乗り出して以後のものも多い。
写真のカラー技術がおぼつかなかった時代のカラー写真など、歴史的においを感じさせるものさえある。北大山岳部、孤高の開拓農民、そんな姿が、レンズの被写体として狙われやすい要素もあったのではなかろうか。
それらの写真をデータ化して、和紙に印刷した。これが最近の技術である。分かったように言ってはいるが、本当のところ当方には理屈はとんと分かっていない。ただ、完成品は「おっ」と息を飲む出来栄えで、自分で頼んでおいて感心している。
「いいでしょう」。自画自賛だ。「セピア色の写真が、和紙の柔らかさとマッチして」、一枚ずつ雰囲気をかもし出す。モノクロはモノクロで、カラーはしっとりの絵の如し。それに、最近の十勝原野で自然風景を撮ったショットも混ぜると、“引き立て役”である。直行さんはさらに強調される。
先日お見えになった、初老女性のお二人の会話を聞いてしまった。
「直行さんは男前じゃねえ」
「映画俳優みたいな、いい男じゃ」
「けんど、この写真は古いきねえ。修正しちゅうと思うぞね、そうじゃないとこれほど全部の写真が、これほど男前には写らんぞね」
「そうかも分からんねえ」。
飛び出ていって「違います!」と言おうかと思ったが、あまり楽しそうなお二人の会話振りに、雰囲気を壊してはと、思い止まった。皆さんも直行さんがハンサムか否か、確認にお越しください。