あと一週間 2006年12月24日

障子を開けると朝湯気の窓に水滴が筋になって走り下りていた。
冷気が滑り込んできた。
外はまだ暗い。
遠くで救急車だろうサイレンが聞こえ、耳を澄ますとふっと音は消えた。
“病院に着いたんだ”ひとり合点して出勤の支度である。40分後には家を出る。今年繰り返されてきた日常の始まり。
ただ、このところ家の門を出るたびに、胸にある緊張感が膨らんでいるように感じられる。原因は分かっている。頭から離れない館で開催中の「坂本直行展」のせいだ。始まって一ヶ月を過ぎた。地元入館者も増えている。まずまずの前半だが、いまひとつ物足りないと思うのは、これはもう性分かも知れぬと苦笑いでごまかすしかない・・・・・。
まるでそんなマイナス指向の気持ちを察したかのように、先日、一鉢の生け花が直行展入り口に登場した。それは、直行、龍馬の顔が並ぶその下の空間を占領した、というより雰囲気に溶け込んだと言ったほうが当たっている。「騒ぐでない」と背筋伸ばした“武士”の存在感である。
制作は、「草木花塾」を主宰する郷田八代さん。一枚のガラス板とガラスの花瓶、それは自家製だろうガラスをちりばめたような敷物。枯れて色ずいた野草。緑色は苔。それが素材の全て。「苔だけに水をかけてください。生き返ります。霧吹きでいいですよ」。「テーマは?キャプションつけてくれませんか」と聞くと「お好きなようにどうぞ」。にっこり笑って、あっさりお帰りになった。
後で、館の学芸主任が「直行さんと六花亭にちなんで“六花”はどうでしょう。雪のイメージにもつながるし」で、
「六花=りっか」とした。
不思議な感覚にじっと見入る方もおられる。今年もあと一週間になった。