足音を聞いて育つ 2007年1月13日

正月に妻の実家へ行ってきた。妻の実家は農業を営んでおり、私たちはいつもおいしいお米を頂いている。義父と農業の話をしていた時、上手にお米を作る秘訣を聞いてみると、その答えは「田んぼへまめに足を運んで手入れをしてあげること」だった。
4・5年前、県立歴史民俗資料館で、「おばやんの知恵袋」という面白い企画展が催された。当時83歳だった“おばやん”は、講演の中で「人の足音で、つくり(作物)は育つ」ということをおっしゃられた。やはり義父と同じなのだ。「いっつもは直接手をかけなくても気をかけて見に行きよったら、結局は手が足りてよう育つがじゃね。作物の成長具合を眼でみるが大事ということよ」(企画展展示資料解説集より)
これは非常に含蓄のある言葉で、様々なことに共通した言葉ではないかと思う。例えば子どもの成長である。いじめや自殺、事故など子どもにまつわる事件が多い昨今、親はどれだけ子どもの変化に気付いているだろうか。早く気付けば何らかの対処ができるかもしれない。
博物館にもこの言葉は当てはまる。資料は生き物ではないので成長することはないが、逆に日々劣化している。それを最小限に止めることが博物館の使命である。毎日展示室へ行き、資料の様子を見ていれば、展示室内や資料の異変に早く気付くことができ、早い対処ができる。現在当館で開催されている坂本直行展は、普段当館ではあまり展示をしない絵画が中心で、しかも展示方法が大きく違う。こういう時こそ、まめに展示室へ足を運ぶことが大事だとあらためて感じた。
直行展は好評で多くの方が来館してくださっている。あと3ヶ月、先は長いが気を引き締めて臨みたい。