割れた竹筒 2007年1月19日

「坂本直行展」入り口に、一鉢の生け花が置かれている。
「草木花塾」の主宰、郷田八代さんの作で、このことは、既にこの欄でも紹介済みだ。このグループの得意とするところは、野に咲く自然な草花をあしらって独特の空間を演出する手法である。
普通のお花を生けるのとは少し違っているように思う。
それは単に“きれい”だけではなく、“存在感”とでもいえばいいのだろうか。
「今、草木は季節的に眠っている時期でしょう。その中から材料を探すわけですから・・・」草や木に、人に話しかけるがごとく問いかける。
労わる。感謝する。本当に大事にしているのが良く分かる。
車の右前部、バンパー付近が擦れていた。
「山道が草で隠れていて、石に気づかなかった」とくったくない。
「車は傷だらけですよ」。
先日、花瓶を古い竹筒に見立てた作品が登場した。
竹筒は20センチほどの高さがあった。節が二つ。苔が生えていて風情もなかなかのものである。午前中に生けたその日の夕方だった。
「パン」。大きな音が館の入り口付近に鳴り響いた。
居合わせた入館者もびっくりした。受付の職員も腰を浮かせた。
見ると、くだんの竹筒が見事に縦に裂けて、水が噴いていた。
館内の乾燥のせいで、竹が弾けたのだ。それもまた一興。割れた竹筒は郷田さんにお返しした。
「割れてしまったの。皆さんびっくりされたでしょう。ごめんなさいね」
郷田さんはしきりにお詫びして頭を下げられた。胸にしっかりわが子のように竹筒を抱えたままで。