89歳の山男 2007年2月17日

北大の山岳部で、直行さんを知る Iさんが館に来られた。
Iさんとは「直行展」開催直前に館でお会いしたのが最初である。
何より「89歳」と聞いて、お達者ぶりに驚ろかされた。
動作が速い。足腰がしっかりしている。
重そうなリュックをひょいと担ぐ。
さすが山岳部OB。
若かりし頃の片鱗を十分に窺い知ることが出来る。
北海道の仲間に直行さんの図録をと、数十冊の図録販売までもお世話になった。

2ヶ月ぶりの再会である。
顔を合わせるやいなや、 Iさんは握手を求めてきた。
手の位置が胸の辺りまでくるアクションの大きい握手である。
「よかったじゃあないですか。立派、立派。ほんといい企画展です」
通路の真ん中で、他の入館者も思わず足を止めるジェスチャーであった。
しかし、うれしくてこちらもついつい声が大きくなっていた。

第三会場、直行さんのアルバムコーナーに、直行さんが列車からタラップ伝いに降りてくる一枚の写真がある。プラットホームには友人らしい人影が数人。皆さん背広姿。改まった会議の流れか?が、よく見ると背広ズボンなのに靴は、不釣合いな登山靴ではないか。
Iさんが言った。
「あの写真、私が撮ったのですよ。山の遭難事故があって、北大山岳部OBの連中が捜索に参加しました。そのときの、スナップです」。
Iさんは遠くを見る眼差しになった。瞬間、時計が逆回りして、止まったように感じた。