帯広 2007年4月12日

帯広に“まいった”
雪原の帯広に飛行機はゆっくりと着陸した。
まるで雪面を滑るがごとし。
窓の外を流れる風景に、記憶のポケットを刺激された。
“どこかに似ている”。すぐに思い当たった。
シルクロードの拠点、新疆ウイグル自治区の首都ウルムチのウルムチ国際空港の果てしなきたたずまいではないか。
重く天から覆いかぶさっている鉛色の雲。
しかし、空気は澄んでいる。
雪原の区切りのように、枯れた樹林の列が並んでいる。カラマツだろう。
ウルムチなら、これがポプラだ。
ふと、目線をカラマツの奥に向けた。
さらに続く雪原の果てに雪をかぶった山脈の気配。
目を凝らすと、確かに見えた。
ウルムチなら際立って聳えるのがボゴダ峰である。見入ってしまった。
空港ロビーを出て、風に当たっても寒さを感じなかった。

そうだ、帯広に来たわけは先に館で開催した「坂本直行展」で借りた絵の返却であった。
製菓会社「六花亭」所有の中札内美術村から90点近い直行さんの絵を借りたのをはじめ、広尾町、同地区の農協などなどお世話になった先は数知れず。
驚いたのは、戻しに行って逆に大歓迎を受けてしまったことだ。
珍味の山々、そして何より情の笑顔。まいった。まいった。まいってしまった。

冬山を降りてきた後輩たちを、十勝原野に住む直行さんはこんな風にもてなしたのだろうか。
翌朝、まさに青空の下に連なる日高山脈を見た。バス待つ見知らぬスキー帽をかぶった青年の立ち姿に知らず直行さんを重ねていた。
それに、動き出したバスの前を、ヒラリ!横切った影は紛れもない“龍馬”と感じた。
帯広は忘れられないところになった。