波の下に”道”が見えた 2007年7月22日

梅雨明け直前の桂浜の海は、霞の中にある。
水平線もあいまいで、寄せてくる帯状の波が、ベールの向こう側から抜け出るように姿を現してくる。
生暖かい湿気を含んだ風は、運動神経にまでまとわりつく。
それが、最後の信号とも言える。
「さあ、もうそこまで!」とばかり一斉に蝉がトーンを上げて鳴き始めた。
謝謝謝(シエシエシエ)…から、既に、民民民(ミンミンミン)。
まるで、参院選挙の宣伝か?
その声に押されて、館の南端いつもの“空白のステージ”に立つ。
眼前には龍馬の見た海である。
霞の奥が覗けるような気になって、目を凝らすと、眼下に見える椰子の木前方海面に道路が走っているではないか。
いや、海面ではなく、道路の上を波が洗っている。
つまり、海中にガラスドームの道路があって、それが上から見える感覚なのだ。
トラックが乗用車が列になって、何の支障もない。
不思議の空間。道路は東に向かって水平線を目指す。
面白いのは、この道がどこからでも見えるものではないことだ。
館の南端、しかも海に向かって左側の先端50センチ四方のポジションに限定される。ここしか見えない。
そこで、そこに足跡で表示した。“幻の道”が見えるスポットと。
この不思議の正体は、実は館のガラス張りの構造にある。
館の海に向かって右手に見える、桂浜花街道がガラスに複雑に反射して、反対側の海にもぐりこんでいるものらしい。
しかし、不思議です。毎日見ても不思議です。
ミンミン蝉は鳴き狂っています。