竜馬がゆく 2007年8月24日

歌舞伎役者の市川染五郎さんが記念館に来てくださった。
残暑厳しい、抜けるような青空が広がる土佐に、ダークスーツ姿の染五郎さんは涼やかに舞い降りた。舞い降りたなんていうとオーバーに聞こえるかもしれないが、そんな表現が陳腐に思えないくらい立ち姿の美しい役者さんだった。
3年前の正月にテレビ放映された染五郎さん主役の長時間ドラマ『竜馬がゆく』を覚えていらっしゃる方も多いだろう。
「土佐弁は難しいですね。もう、嫌いになりそうなくらい格闘しました」と言うが、当時の撮影所では「ほいたら」(そしたら)という土佐弁がそこかしこで飛び交っていたらしい。龍馬暗殺者説に出た「薩摩と新選組は嫌いですね」とも笑う。
染五郎さんには龍馬が染み込んでいる。そんなふうに思った。TVドラマ収録当時、染五郎さんは「演じるというよりは龍馬になりたい。龍馬に降りてきてもらいたい」とおっしゃっているが、演じて演じて演じきって龍馬になるうち、染五郎さんが体得した龍馬が彼自身の中に生きているのだろう。
「龍馬は今でいうオタクみたいなものですね。移動中なんかもいつも考えている。考え抜いたことが自信になって、信念をもって日本のために行動する。演じれば演じるほど新しい龍馬に出会えます。私自身のあこがれの人ですね」。
龍馬のいた土佐に来て、海を見て、この地の空気を吸うことで龍馬に近づける。2度目の高知は前回と同じ暑い夏。だからこそ、龍馬とこの地のパワーを感じるらしい。高知は故郷のような所だと言う染五郎さんは、龍馬の真髄を心底知った役者だと実感した。
9月2日から26日まで、東京銀座・歌舞伎座で市川染五郎演じる歌舞伎『竜馬がゆく~立志編』が上演される。龍馬が歌舞伎に登場する。その日が本当に待ち遠しい。