操舵室から 2005年9月3日

龍馬記念館の建物は、大海に乗り出す船をイメージに設計されている。
船体はブルーとオレンジ色。
大波を一つ乗り越え、次の波に向かって、かっこよくへさきを持ち上げた瞬間である。
まこと、屋上に立ち眼下を見ると、甲板にいる気分になる。
砕ける波。跳ね散る飛沫が白い、白い、白い。
”船内”は壁面がカーブを描いている。
だから、事務室などとして使うには不便この上ない。
机は、壁と直角に突き当たる配置が出来ない。
窓のブラインドが、斜めに上がっていく。
それはいいが、変則なので壊れやすい。
”艦長”ならぬ館長に就任して一ヶ月、専ら”船”の修理に追われている。
ただし気に入っているところもなくはない。
上がり下がりは、鉄製の螺旋階段である。
靴の下に弾む鉄の響きが、手摺の手触りが心地好い。
船腹の丸窓もいける。
しぶきが掛かってくる感じである。
少しさびがきているのも、年月を感じさせて楽しい。
そして極めつけ、ここは操舵室。
海に突き出した、総ガラスばりの空間は、目線の彼方に水平線である。
まさしく”龍馬の見た海”。
台風余波のうねりの中を、地元の漁船が一艘波をたてて横切って行った。