茶色のブーツ 2005年10月30日

心持台にもたれ、目線を遠くに投げ、口を結んだ龍馬のポーズはご存知だと思う。
桂浜に立つ龍馬像もそうだし、館でも人気のポスターがそのポーズである。
右手は懐にあり、膨らんでいる。何か持っているのか、ただ、手を入れているだけか。
愛用のピストルを忍ばせている説も捨てたものではない。推理するのは、楽しいミステリーだ。
こちらはそんな詮索は無用。
袴の下に覗く、休めの姿勢の足先は、明らかに革靴である。それもブーツ。
“さむらいブーツ”。自然で、違和感がないのが、龍馬の龍馬たらんところだろう。
似合っている。
企画展準備に追われていたその日、どさっと館長室に宅急便が届いた。
思い出した。先に、高知市で開かれた全国龍馬の集いで知り合った、長崎の靴屋さんから送られてきたものである。龍馬のブーツを制作しているという。そこで、一足送っていただいた。
今、新品の茶色のブーツが、応接の机の上にある。デザインは悪くない。今からすぐに履いて街に出ても、おかしくはない。それより新品の皮の匂いがプンと新鮮である。
説によると色々だが、龍馬がブーツを求めたのは、長崎らしい。確かに外国商社もあり、手に入れやすい環境にはあった。格好より、実利性を好む行動派の龍馬にすれば、ブーツは超便利な履物だったと言えるかも知れない。
壁には、定番龍馬の写真が架かっている。古い写真は黄ばんでいるから、靴などちょうどの茶色である。
卓上のそのブーツを見ていると、むらむらと自分用の一足を誂えたくなった。